寒い日も暑い日も、晴ればれした日も雨の日も、嬉しいことがあった日も悲しみに暮れた日も、おばあちゃんは変わらずに生活しています。その「変わらない梅さんの存在」を軸に春から夏、秋、そして冬と季節は巡っています。
一日が積み重なり一ヶ月、そして一年。この繰り返しの中で、私たちも生活していますよね。
時代と共に暮らしが変り、受け継がれがる季節のしきたりがカタチを変えたとしても、自然に寄り添て生きることは、この先も変わらないのでしょうね。
実は梅さん、ことわざ・格言が大好き。「なるほどなぁ~。」と、腑に落ちる言葉も多いですよね。
では、梅さんの暮らしと好きな言葉と共に、一年を見てみましょう。
昭和をモチーフにぬりえやペーパークラフトを制作しているちいさな工房のブログです。「こころにエール」を勝手ながら届けたいと思っています。
新年を迎え、自然と共に生きる 新年~春
◆1月……
家族、親戚、友人、知人からの年賀状。今年も周りのひとと、仲睦まじく過ごそうと思う梅さんです。新年の始めに、みんなが元気だと知れるのは「めでたいな」と呟いているようです。
一富士、二鷹、三茄子 (いちふじ、にたか、さんなすび)
初夢に見ると縁起がいいとされるものを順に並べたことば。
出典:故事・ことわざ・慣用句辞典オンライン
◆2月……
2月3日は「鬼は外、福は内」と豆をまき、鬼を払い福を招き入れる節分です。災いを、鬼に見立てて追い払います。梅さんの本気モードに、鬼役のおじいちゃんも名演技。これなら、福がやってきそうですね。それにしても、寒い日が続いています。この冬は、雪が多いから心配ですね。
雪は豊年の瑞 (ゆきはほうねんのしるし)
雪が多く降る年は、その年が豊作になる前触れだということ。「瑞」は前触れの意。
出典:故事・ことわざ・慣用句辞典オンライン

◆3月……
寒さも、どうやら山場を過ぎたようですね。暖かい日差しが、心地よい日もでてきましたよ。ようやく草木が、どんどん伸びてくる季節が巡ってきましたね。梅さんも、ほっと一息です。このまま春になるといいなと思っても、まだまだ、寒い日もあるので体調には気を付けたいですね。
三寒四温 (さんかん しおん)
冬に寒い日が三日ほど続いた後、四日ほど温かくなること。中国北部朝鮮半島北部で、シベリア高気圧の影響を受けて起きる現象。これを繰り返しながら少しずつ春の気候へと変わっていく。また、近年の日本においては三寒四温がはっきりと現れることは少ないため、春の初めに低気圧と高気圧が交互にくる周期的な変化のことをいう場合が多い。
出典:故事・ことわざ・慣用句辞典オンライン
◆4月……
すべてが、生き生きと眩しく見える季節です。草木もまるで、待っていたかのように、芽吹いてきます。梅さんも、ウキウキした気分になっているようですよ。冬の間は、何の木かわからなかった桜も、花を咲かせると、一気に華やかになりますよね。春、本番です。世の中で何があっても、桜は毎年同じように咲いてくれます。ありがたいことだと、感謝する梅さんです。若い頃は「花より団子」だったけど最近は違うらしいですよ。
世の中は三日見ぬ間の桜かな (よのなかはみっかみぬまのさくらかな)
世間の移り変わりが激しいことを、桜の花があっという間に散ってしまうことに掛けて言った言葉。もとは江戸時代の俳人大島蓼太の句「世の中は三日見ぬ間に桜かな(三日外出しなかったら桜の花が咲きそろっている)」から。単に「三日見ぬ間の桜」ともいう。
出典:故事・ことわざ・慣用句辞典オンライン
日々の暮らしを、愛おしく感じる 初夏~盛夏
◆5月……
春の色彩が、あちらこちらで、鮮やかになってきますね。暑くもなく、寒くもない、過ごしやすい季節ですよね。空気も乾いているので、とても快適に過ごせますね。そんな時は、外に出かけて行きたくなります。梅さんは、孫たちと温泉に出かけて足湯を楽しんでいます。もしかしたら、端午の節句になぜ、菖蒲湯に入るのか、教えているのかもしれませんね。
六日の菖蒲、 十日の菊 (むいかのあやめ とうかのきく)
時期に遅れて役に立たないもののたとえ。5月5日の端午の節句に用いる菖蒲は5月6日では遅く、9月9日の重陽の節句に用いる菊は9月10日では間に合わないとの意から。「十日の菊、六日の菖蒲」ともいう。
出典:故事・ことわざ・慣用句辞典オンライン
◆6月……
どうやら梅雨に入りました。ジメジメと湿度も高く、とてもうっとうしい日が続いています。今年も、梅さんの家の軒下に、ツバメが巣を作りましたよ。知っていますか、ツバメは飛んでいる虫を、空中で捕食するそうですよ。もちろん、ヒナに与えるえさも、飛んでる虫なんですって。ハエ・蜂・アブ・羽アリなどが、主食だそうです。
夏の虫、氷を笑う (なつのむし こおりをわらう)
見識が狭いことのたとえ。夏の間だけ生きている虫は、氷の存在を理解できずに氷を笑うという意から。
出典:故事・ことわざ・慣用句辞典オンライン

◆7月……
梅雨が明けると、いよいよ夏が訪れますね。太陽はギラギラと照りつきます。空には入道雲、蝉の鳴き声が、さらに暑く感じる夏休み。おまけに、夕方には蚊も出で来ますね。楽しみなことは、真夏の夜の花火大会です。梅さんは今年も浴衣を着て、きれいな夜空を見上げています。
夏歌う者は冬泣く (なつうたうものはふゆなく)
働ける時に働いておかないと、あとで暮らしに困るというたとえ。夏に歌など歌って遊び暮らしている者は、冬になって蓄えがなく飢えや寒さに泣く羽目になるという意から。
出典:故事・ことわざ・慣用句辞典オンライン
◆8月……
暑い時期が、続いていますね。熱中症には、気を付けましょう。スイカは、体の熱を取って水分補給もしてくれます。お盆が過ぎた頃には、涼しい風も吹いてくるのでもう少しの辛抱ですね。秋の虫の声が聞こえてくると夏もそろそろ、終わりです。ちょっと、寂しいものですね。
夏は日向を行け 冬は日陰を行け (なつはひなたをゆけ ふゆはひかげをゆけ)
夏にあえて暑い日向を、冬にあえて寒い日陰を行くように、進んでつらい道を求めて身体を鍛錬せよということ。
出典:故事・ことわざ・慣用句辞典オンライン
多くの恵みに、感謝して暮らす 秋~冬
◆9月……
季節は進んで、もうすっかり秋ですね。この時期は、雨が長く降ったり、台風が来たりと天候の変化も心配です。天気予報は、こまめに見ている梅さんです。どこからか金木犀の甘い香りがしてくると、山からの紅葉のたよりが届きます。さぁ、収穫の時期ですね。裏山で、キノコがたくさん収穫できました。梅さんご満悦のようです。
秋の雨が降れば猫の顔が三尺になる (あきのあめがふればねこのかおがさんじゃくになる)
秋は晴れた日より雨の日の方が暖かいので、猫も顔を長くし喜ぶということ。
出典:故事・ことわざ・慣用句辞典オンライン
◆10月……
風が、冷たく感じるようになってきました。空気も、とても乾燥してきましたね。季節も、冬へと向かっているようです。晴れ渡った空にはすじ雲や、うろこ雲が、高いところに、浮かんでいるのが見えますね。真っ赤な紅葉が、空に映えて深まりゆく秋を感じますね。これから、ますます収穫が続くと張り切っている梅さんです。
天高く馬肥こゆ (てんたかくうまこゆ)
さわやかな秋を言い表す言葉。秋の空は高く澄み渡り、馬もよく食べて太るという意から。「天高く馬肥ゆる秋」ともいう。
出典:故事・ことわざ・慣用句辞典オンライン

◆11月……
いよいよ、冬の季節の到来ですね。木枯らし一号の、便りが聞こえてきます。風邪を引かないよう、暖かく過ごしたいものです。これからの季節、火を使う機会も増えるので、火事には気を付けようと、心に決めた梅さんです。この時期に、冬の準備も始めておきたいですね。梅さんは、得意な編みものを始めたようです。何を編んでいるかは、内緒のようですね。
物言えば唇寒し秋の風 (ものいえばくちびるさむしあきのかぜ)
余計なことを言うと、思いがけない災難を招くということ。松尾芭蕉の句。
出典:故事・ことわざ・慣用句辞典オンライン
◆12月……
さて、寒気がいよいよ、強くなるころです。雪が降る季節でもありますね。昼の時間も、短くなるので、日が落ちるのも早いですよね。梅さんそろそろ新年に向けて、準備を始めたようです。暖かい日を選んで、障子の貼り替えをしていますね。とても、手慣れたものです。そして、きれいになった部屋で、心静かに過行く一年を振り返る、梅さんでした。
冬来たりなば春遠からじ (ふゆきたりなばはるとうからじ)
つらく厳しい時期を耐え抜けば、必ず幸せがめぐって来るというたとえ。寒くて暗い冬が来れば、暖かく明るい春がすぐやってくるというあかしだという意から。イギリスの詩人シェリーの「西風に寄せる歌」の一節から。
出典:故事・ことわざ・慣用句辞典オンライン
どんな時も、変わらず巡ってくる季節
梅さんの一年は、日々を積み重ねて回っていくのでしょうね。当たり前のことを、当たり前に繰り返している極めてシンプルな生活でしたね。
それだけでなく、先人の言葉に耳を傾けて暮らしのヒントにしていましたね。今日の梅さんは、どんななことをしているのかな。
きっと、変わらず季節に合わせた生活をしていることでしょう。また機会がありましたら、ご紹介いたしますね。